「21世紀型教育で求められるもの」
~文武両道がなぜ必要なのか~
- 大阪学芸高等学校附属中学校 校長
- 森松 浩毅
大阪学芸高校附属中学校は、「勉強とクラブ活動(習い事)を両立して頑張れる中学生」を求めています。
高い建物を建築することを考えてみてください。その際に問題となるのは「土台」「素材」「風」「エレベーター」と言われています。技術革新により新たな「素材」や「風」対策、更にエレベーター技術の進歩が待たれます。しかし、何よりも建物を支える「土台」がしっかりしていなければ建物を建てることは出来ません。中学時代はこの「土台」を作る時期だと考えられます。
古き良き時代の中学校では「勉強」「クラブ活動」のいずれかに偏らず「学校生活を通じて大きく成長する」生徒が多く見られました。私たちが大阪学芸高等学校のもとに「附属中学校」を創ったのは、国公立大学を目指すために「勉強一本」で詰め込む教育や運動などで勝つことが出来れば勉強が出来なくても良いとする「習い事一本」になってしまう「文 / 武・両道」のように片方ずつの道に分けてしまっている教育ではなく「文武両道」(文事と武事、学芸と武芸)で「土台」を作り、人間力を高めることが必要だと考えたからです。
「21世紀型教育」とは2011年に生まれた未来教育を示唆する〈ことば〉です。「学歴や偏差値、知識量で語られてきた教育」から「生徒一人ひとりの才能を発見し広げ深めていく教育」に教育内容がシフトをしていきます。まさに「21世紀型教育」の基礎は「文武両道」にあると考えます。
本校では、落ち着いた学習環境のなか、授業中は「勉強」に集中し、放課後は「クラブ活動・趣味・特技」で頑張ってください。両立を図れる中学生こそ社会に出て有為な人材に育つと確信しています。
また「21世紀型教育」で注目されているのは、「グローバル教育」や「イマージョン教育」と言われる「英語教育」です。本校では「英語教育」についても力を入れており豊富な英語の授業時間を確保し、ネイティブ教員が授業も担当、4技能のバランス良い習得と「国際理解教育」を推進しています。また英語力を伸ばすためには母国語である日本語の能力を伸ばす必要がありますので「国語力」を重視しています。
本校では他の中高一貫校とは違い高校課程の「先取り教育」はしません。中学校の学習内容を確実に理解し、応用・発展問題を解く力をつけることがより早く高校の学習内容を理解することにつながるからです。
本校入学後にさらに英語力を伸ばしたいと考える生徒には大阪学芸高校の「国際科」で海外大学進学も視野に入れた教育を準備しています。大阪学芸高校では従前から実施している国際コースでの「1年留学」を進化させ、2019年度より「国際科」を設置しました。「国際科」では「1年留学コース」のほか「グローバルコース」、さらには、カナダ(ブリティッシュコロンビア州)の教育が日本にいながら受けられる「ダブルディプロマコース」(BCオフショアスクール)も開設しています。
このような教育を展開し、真の「人間力」を子どもたちにつけさせたいと考えています。